【和の心】琴の名曲。日本の美しい調べ
やわらかい音色、調べが魅力的な楽器、琴。
琴の曲ってお正月など日本らしい行事ごとにぴったりですよね。
聴けば耳に馴染むというか、心が落ち着つきます。
今回この記事では琴の名曲をたくさんご紹介していこうと思っています。
さて、さきほどから「琴」という漢字を使っていますが、もしかしたら「箏」じゃないの?と思われている方もいらっしゃるかもですね。
厳密に言うと「琴」と「箏」は違う楽器なのですが、なるべく多くの曲に触れていただきたいので、ここでは総じて「琴」と表現しています。
では、最後までぜひ見ていってください。
もくじ
【和の心】琴の名曲。日本の美しい調べ
思い出衛藤公雄
『思い出』は、美しく切ない旋律が心の中に入り込んで来て、懐かしい人や場所を思い出さずにはいられなくなる、情緒豊かな作品です。
日本を代表する箏曲家の衛藤公雄さんが作曲されました。
衛藤さんは、カーネギー・ホールでバイオリニストの江藤俊哉さんに続き、日本人としては2人目となる演奏会を開きました。
国際的な筝演奏家として活躍された人物です。
一月一日
お正月の曲をお探しならこちらの、定番中の定番はいかがでしょうか。
1892年に生まれ、それから今にいたるまで日本の正月を彩ってきた楽曲『一月一日』。
バラエティ番組『新春かくし芸大会』テーマソングのイメージが強い方、多いかもですね。
あのメロディーを聴くと「年が明けたなぁ」と実感が湧きます。
この曲調、箏で弾く曲としてこれ以上ないぐらいぴったりです。
それこそ、新年会のかくし芸なんかで披露するのもありでは。
(荒木若干)
神仙調舞曲唯是震一
現代箏曲の最高傑作の一つといわれるこちらの曲は、唯是震一さんが作った作品です。
彼は東京音楽学校邦楽科で宮城道雄さんに師事、その後はアメリカにわたりコロンビア大学でヘンリー・カウエルさんに師事し、作曲を学びました。
広いジャンルを知って邦楽に生かしておられるのですね。
唯是さんは他にも舞台音楽や映画音楽も作っておられるので、そちらもぜひ聴いてみてください。
また、こちらの『神仙調舞曲』は琴のソロ曲としても人気が高いんです。
箏歌細川俊夫
こちらの曲は現代音楽の作曲家として知られている細川俊夫さんが作った曲です。
比較的珍しい、箏独奏のための作品で、琴を演奏しながら奏者が歌うスタイルです。
伴奏は現代音楽作家らしく奇抜な音をぶつけていたりするのですが、音色が伝統的だからかアバンギャルドには感じられず、不思議なんですが逆に自然に思えてしまいます。
この曲以外にも現代音楽における箏の作品はいくつかありますので、聴いてみると楽しいかもしれません。
明治松竹梅
松竹梅ものという、正月飾りの松竹梅を主題とする曲の一つで、箏の高低二重奏として作曲されました。
作者の菊塚与市さんはこの曲をはじめ、明治新曲といわれる新時代の趣向を生かした曲をいくつも作りました。
オルゴール調子と呼ばれる特殊な調絃法を取り入れられています。
こ歌がついているのですが、その歌詞は1900年から1902年にかけて、明治天皇や皇后などが作られた和歌でできています。
興味深い合作、と言えますね。
風の歌沢井忠夫
箏の曲としてはとても新しい1970年に作られた曲で、沢井箏曲院の創始者である沢井忠夫さんによって制作されました。
風と、それに吹かれる人の心との対話を描いた作品で、伝統的な曲というより、琴と尺八の合奏の可能性を追求したような新しいタイプの曲です。
今と昔が交わったような音楽性に胸打たれます。
彼は、1985年に「違いがわかる男」のコピーで有名なコーヒーのCMにも出演していたので、ご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。